岬研究室

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法律文書の著作性1 条文と判決

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 ふと,「あれ,契約書とかって著作権で保護されるのかな」という疑問をもちましたので,ちょっと調べてみました。

 

 

保護を受ける著作物とは?

 もちろんまずはe-govさんから。著作権については,著作権法で定められています。

 

(保護を受ける著作物)
第6条 著作物は、次の各号のいずれかに該当するものに限り、この法律による保護を受ける。

 一 日本国民(わが国の法令に基づいて設立された法人及び国内に主たる事務所を有する法人を含む。以下同じ。)の著作物

 二 最初に国内において発行された著作物(最初に国外において発行されたが、その発行の日から三十日以内に国内において発行されたものを含む。)
 三 前二号に掲げるもののほか、条約によりわが国が保護の義務を負う著作物

 

 日本人が作っている法律文書であれば,6条は問題なくクリアしそうですね。

 ということで,法律文書が「著作物」にあたれば著作権により保護されそうです。

 

著作物とは?

 そこで,次に「著作物」に関する条文をひろっていくと,

(定義)

第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
   一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

 

(著作物の例示)
第10条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
   一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
   二 音楽の著作物
   三 舞踊又は無言劇の著作物
   四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
   五 建築の著作物
   六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
   七 映画の著作物
   八 写真の著作物
   九 プログラムの著作物

 2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。

 3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
   一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
   二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
   三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。

 

 これらの定義規定だけを見ていくと,法律文書も保護されそうな感じがしなくもないのですが,例外を定めている13条を見ると,

 

例外規定にはあたる? 

(権利の目的とならない著作物)
第13条 次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。
 一 憲法その他の法令
 二 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)又は地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
 三 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
 四 前三号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの

 

結論 

 憲法その他の法令や,告示・訓令・通達,判決等は,13条によって,権利の目的とならない著作物とされていますので,法令や通達,判決等については著作物となりません。なので,これらを参考にして訴状や準備書面をかいたりしても,同一性保持権(20条)や複製権(21条),翻案権(27条)の侵害とか言われないし,公開しても公衆送信権(23条1項)侵害とか言われないってことですね。

 

 条文をたくさん引いている当ブログとしては,条文が著作権によって保護されていなくて一安心です。

 

 

 
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